ゴムくずとは?処理方法や処理費用について詳しく解説致します

ゴムくずとは

ゴムくずとは、事業活動に伴い発生した天然ゴムを主原料で構成された廃棄物です。「ゴムくず」というと廃タイヤ等をイメージしがちですが、ゴム製の廃棄物がすべてゴムくずに分類されるわけではなく、これらは人工的に合成された合成高分子化合物を含むため、廃プラスチック類として扱われます。廃棄物処理法第2条第4項および施行令第2条によるとゴムくずは20ある産業廃棄物の種類の中の1つとして定義されています。ゴムくずの具体的な種類としては、天然ゴムの切断くずや裁断くず、ゴム引布くず、エボナイトくず等が挙げられます。

天然ゴムと合成ゴムの違い

それでは、ゴムくずを取り扱う際に産業廃棄物の分類も異なる天然ゴムと合成ゴムの違いについて説明します。天然ゴムとは、ゴムノキから採取される樹液(ラテックス)を加工して作られるものです。天然ゴムの主な生産地はインドネシア、タイ、ベトナム、マレーシアといった東南アジアで、チューブや布テープの接着剤等に幅広く活用されています。天然ゴムは熱や薬品類に弱いという特性がありますが、強度や弾力や耐摩耗性等に関しては合成ゴムよりも優れています。合成ゴムの原料は主に原油です。合成高分子化合物が含まれるゴムが合成ゴムと呼ばれ、産業廃棄物ではゴムくずではなく廃プラスチック類に分類されます。そのため、合成ゴムが使用されている廃タイヤは、ゴムくずではなく廃プラスチック類として処理します。合成ゴムは天然ゴムに比べて強度や柔軟性に劣るものの、天然ゴムに比べ安価に製品を作ることができる点で重宝されています。ゴム製だからといって、ゴムくずに分類されるわけではないと覚えておきましょう。

ゴムくずの処理方法

ゴムくずの代表的な処理方法としては、埋め立て処分とリサイクルが挙げられます。埋め立て処分は最終処分場にて行われます。また最終処分の比率は、令和3年に環境省から発表した報告書によると令和元年度に排出されたゴムくずの最終処分率は34%と産業廃棄物の中でも特に高い数字となっています。選別・破砕を行った後、もしくは焼却や溶解等の減容処理を経て最終処分場にて埋め立てられます。リサイクルの方法としてはゴムくずを粉砕した上でゴムチップ化・製品化したり、一度焼却処分をして焼却灰を路盤材やセメント原料等の資材に活用したりします。ただ、リサイクルに伴う製造コストや品質等の課題があり、他の産業廃棄物と比べてリサイクル率は低いのも現状です。ゴムくずの排出量は年々増加傾向にあり、産業廃棄物の最終処分率も高い水準になっています。自然環境保全に貢献するためにも、ゴム製品はできる限り長く利用したり、ゴムくずは最終処分せずリサイクルに出したりすることを心がけましょう。

ゴムくずに関してのまとめ

ゴムくずは原料・製造方法によって排出方法が異なる廃棄物です。原料に天然ゴムを使用している場合は“ゴムくず”、合成ゴムを使用している場合は“廃プラスチック類”として扱わなければなりません。天然ゴムを使用した廃棄物には、裁断くず、ゴム引布、エボナイトくず等があります。処理方法は焼却・溶融を経た最終埋め立て処分と、原料や燃料に代えたリサイクル方法があります。処理費用はおおよそ8,000円/㎥~が相場となります。ゴムくずの分別は慎重に、適切に処理・リサイクルできる業者を選びましょう。万が一、分別や処理方法を誤ると法律違反となり、中間処理業者のみならず収集運搬・処分を依頼した排出事業者にも罰則が科されます。リスクを回避するためにも、適切に処理・リサイクル出来る安全な処理業者を選ぶよう心がけましょう。