石綿含有産業廃棄物とは?処理方法や処理費用について詳しく解説致します
石綿含有産業廃棄物とは

石綿含有産業廃棄物とは、産業廃棄物処理法等の法令によって「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの」と定義されています。また産業廃棄物の中でも、石綿は人体への健康被害の影響から、処理方法に特殊な注意点が設けられているのも特徴です。石綿とはアスベストとも言われる繊維状けい酸塩鉱物で、体内に吸引することによってがんや悪性中皮腫等を引き起こすと言われています。ちなみに、石綿含有産業廃棄物は非飛散の石綿が含まれた廃棄物のみを指したものであり、飛散性のある石綿が含まれているものは「廃石綿等」と定義され、より厳しい管理が求められる特別管理産業廃棄物として扱われます。この石綿は、建物の建材や自動車のブレーキ、接着剤等幅広く多くのものに使用されてきましたが、2012年3月より全ての石綿の使用が廃止されました。上記のような有害な石綿に対して、正しく処理することが求められています。
石綿含有産業廃棄物の種類

石綿含有産業廃棄物は、建築や解体で発生したもので、かつ石綿が多く含まれているものという定義であるため、具体的な品目は非常に多くなっています。スレート(波板、ボード)、パーライト板・保温材、けい酸カルシウム板、スラグせっこう板、住宅屋根用化粧スレート、ビニル床タイル、吹付け石綿、石綿保温材、けいそう土保温材、屋根折版用断熱材等が代表的な石綿含有産業廃棄物となります。また石綿含有産業廃棄物は、石綿含有産業廃棄物と石綿含有一般廃棄物に分かれます。石綿含有産業廃棄物とは、工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた廃石綿等以外の産業廃棄物であって、石綿をその重量の 0.1%を超えて含有するものです。石綿を含んでいるものの、通常の状態では飛散することがないものを指しています。品目では石綿スレート等の外装材、床タイル等が該当します。石綿含有一般廃棄物とは、工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた一般廃棄物であって、石綿をその重量の 0.1%を超えて含有するものです。品目としては日曜大工によって排出された石綿スレート等の外装材が該当します。
石綿含有産業廃棄物の処分方法

石綿含有産業廃棄物は、石綿という危険な物質が含まれているという特性上、その処理についても一定の規定が設けられており、注意して取り扱わなければなりません。まず、石綿含有産業廃棄物を処理する場合の注意点としては、飛散防止措置をとること・他の廃棄物と区分して収集、運搬、積替え、保管を行うこと・溶融、無害化処理による処分・中間処理としての破砕禁止・一定の場所で分散しないように埋め立て処分し、覆土(ふくど)すること等の項目を遵守しなければならず、一般的に再生利用やリサイクルが難しいとされています。さらに、石綿含有産業廃棄物の排出事業者としてマニフェストを交付する場合、石綿含有産業廃棄物が含まる旨を記載する必要があります。次に、埋め立て処理での最終処分を行なう場合にも注意点があり、最終処分場内の定められた場所で、石綿含有廃棄物が分散しないように埋め立てるとともに、外へ飛散や流出しないよう、表面を土砂で覆う等の措置を講じること。石綿含有廃棄物の受け入れ時に、収集や運搬の際に破損等がなかったかを確認しつつ、万が一破砕等によって石綿が飛散する可能性がある場合は、散水等により湿潤化した上で荷降ろし等の作業を行うこと。転圧する際は、破砕により石綿が大気中に飛散することがないよう、覆土の後に行いまた、作業終了時には石綿の飛散を防止するため、埋め立て面の上面を必ず覆土すること。また埋め立てを行う処分場に関しても、中間処理によって無害化や溶解を行っているものであれば、安定型最終処分場での処分が可能ですが、そうでない場合は管理型処分場での処分が必須となる点にも注意が必要です。最後に、安定型または管理型最終処分場に埋め立て処理を行う場合ですが、石綿含有産業廃棄物の融解施設において1,500度以上で融解し、国が認定している無害化処理施設で無害化処理を行う必要があります。
石綿含有産業廃棄物に関してのまとめ

石綿を含む産業廃棄物は、飛散性の有無により一般産業廃棄物とは処理の取扱いが異なります。適正に処理しなければ排出事業者が責任を負うだけではなく、処理施設の作業員に命の危険や健康被害が及んでしまう可能性のある廃棄物です。石綿含有産業廃棄物処理マニュアルを遵守した適正な処理方法を用いて、安全な処理作業を心掛けることが重要です。処理費用はおおよそ20,000円/㎥~が相場となりますが、量等によって変動します。委託する処理業者には、廃棄物の情報をより詳しく伝えることが大切です。